(個)性的に考える

日常の出来事を真面目に馬鹿な感じで書いていきたいブログです

NTRって何が良いの? 4つの視点から考える

 

 

NTRって?

皆さん、"NTR"ってご存じでしょうか。

NTRとは

 

人や妻を寝取られた男、もしくはそういった「寝取られ展開」の略語。

主人公が人や妻を他の男に(性的な意味も含めて)奪われる、いわゆる「寝取られ」の略称隠語であるが、ビッチ萌えエロ堕ちなどとジャンルを共有している場合も多く、その定義は曖昧である。

https://dic.nicovideo.jp/a/ntr (ニコニコ大百科より)


 

です。

ざっくりと言ってしまえば、恋人がほかの誰かに(性的な意味で)奪われること、って感じでしょうかね。

 

さて、このNTRこと「寝取られ」ですが、結構な嫌われ方をしています。

ちょっとTwitterで検索してみた結果がこんな感じ↓

 

 

精神状態の心配?をされるレベルなんですね…。三番目の人なんか「NTR好きを隔離しろ」ってかなりの過激派です。どこまで本気で言っているのかはわかりませんが、なんにせよNTRにいい印象は持ってなさそうな雰囲気が感じられますよ。

 

自分や他人の性癖に対して「ヤバすぎだろwww」「異常すぎるwww」と冗談交じりに言うのはよくある光景ですが、なんとなくNTRに関してはガチというか、本気で毛嫌いしている人が多いような気がするんですよね。これに関しては「不意打ちNTR」の存在があるのかな、と思います。

NTRというのは何か一定のプレイを指すわけではないし、どちらかというとキャラクターの設定とか関係性とか、作劇的な問題に関わってくるような事柄です。それゆえ、要素としては幅広く様々な作品に入っていけます。その結果「純愛かと思ったらNTRやんけ!」という事故が発生して、嫌われやすくなるのだろう、とワタクシは予想しております。

「百合かと思ったら男が間に挟まろうとしてくる」とか「おねショタかと思ったらクソガキのショタおねだった」とかも同様に、不意打ちでの遭遇が多いために嫌われているのかもしれませんね。

 

しかしながら、世の中にNTR要素のある作品はごまんとありますし、NTRを愛するユーザーの方も大勢いるわけです。昨今の18禁作品でよく見られることはもちろん、直接的なエロでない作品も含めれば、NTR要素のある作品は古今東西、日本でも諸外国でも多く見られるジャンルの作品でもあるのです(源氏物語とかね)。

 

一体全体NTRとはなんなのだ?

 

これまで幾人も考えてきたであろうこの疑問を、私も考えてみたいと思います。

 

 

なお、以下では話を単純にするため、「NTR作品」とは「恋仲にある男女のうち、女性側を第三者の男が性的な意味で掌握する、性的要素を含んだ作品」を指すこととします。

よろしくおねがいします。

 

 

 

NTR作品は"奪う側"の目線から見ている?

私は、NTRにおいて重要なのは見る側の目線・視点であると考えています。なぜなら、NTR作品は誰の視点で見るかによってその性格を大きく変えるからです。

今回はNTRを4つの視点から見て、それぞれの「NTRの良さ」について考えてみたいと思います。

 

まずはこちらをご覧ください。

 

 

 

こちらははぐはぐさんという方がTwitterで実施した「NTRを見るとき、どの視点から見ているか?」というアンケートです。票数は6,400票ほど。Twitterは似た嗜好を持つ人が集まりやすいSNSですので、どこまでNTR好きの実情を反映しているのかはわかりませんが、その結果は非常に興味深いものとなっております。

 

アンケートには「取られちゃう側」「彼女視点」「奪う側」「その他」の選択肢があり、ものの見事に票が割れておりますが、そんな中、僅差で勝ったのは「奪う側」。

 

えっ、寝取"られ"って呼ばれてるのに奪う側視点で見てる人が一番多いの?

 

そうです。NTRは奪う側の視点から見る、という人は多いのです。私個人としては意外な結果ですが、しかし、考えてみればNTRにおいて一番オイシイ思いをしているのは間男のはずなので、NTR好きな人がそちらに感情移入するのはある種当然かも知れませんね。

 

奪う側の視点から見るNTRに関して、面白い指摘をしているブログを見つけたので紹介します。

 

oioi1006.tokyo

 

私なりにまとめますと、こちらのブログでは「NTRを好むユーザーは寝取る側に感情移入しており、感情移入するポイントは①隣の芝生は青く見える理論、②承認欲求、の2つである」ということを言っているようです。

他人の女は魅力的に見えてしまうし、他人の女から「彼氏/夫よりイイ!」と言われると承認欲求が満たされるので気持ち良くなる。というわけですね。

 

なるほど、これは確かにNTRの大きな魅力であると言えそうです。

 

 

"彼女"の視点から見たNTR

でもちょっと待ってください。確かにアンケートでは間男視点が一番人気でしたが、ほかの選択肢に圧倒的大差をつけているわけではありません。

 

はぐはぐさんのアンケートで二番目に票数を集めたのは「彼女視点」で、間男視点との差はたった3%ほど。

これも十分なシェアを獲得していると言えそうです。

なんなら私もNTRを見るときは彼女視点から見ることが多いので、よくわかります。

 

彼女視点から見るNTRの良さって何?という点ですが、それはもう「快楽に堕ちていく心の動き」そのものでしょうね。

 

 

 

人間は基本的に気持ちのいいことが好きです。

ほんとうは○○しなきゃいけないのに…

ほんとうは○○してはいけないのに…

そんな考えがありつつも、気持ちよさに負けてしまう、という経験は多かれ少なかれ皆さんお持ちではないでしょうか。二度寝とか、やるべきことの先延ばしとか、ついおやつを食べ過ぎちゃうとか。

彼女視点のNTRはそういった背徳的な気持ちよさの延長にある気がします。

だんだんと気持ちいい方へ、気持ちいい方へと流され転がり落ちていく心情の在り方に私は大いに興奮しますね。

 

 

本能!?防衛機制!? "取られる側"から見たNTR

続いて、NTRの取られる側、"彼氏視点"です。

NTRと聞いて真っ先にイメージするのはこちらの視点ではないでしょうか。アンケートでは意外にも三番手に甘んじましたが、22%の票を集めているので特別に少数派というわけでもなさそうです。

 

「彼女や嫁を奪われているのに何がいいのだ」

 

という疑問はもっともですが、取られる側の良さにも色々な説があります。

メスを目の前で奪われたオスは、自身の遺伝子を残すため、及び他のオスの遺伝子を残させないようにするために本能的に興奮するようになっているのだ。とか。

NTRによって発生した心のダメージを和らげるために防衛機制がはたらいて興奮するのだ。とかですね。

これに関しては一人のNTR好きによる述懐が、痛ましくもわかりやすかったのでご紹介。

 

なぜNTRという度し難い変態的な性癖が産まれたのか。そしてNTRは我々に何をもたらすのか。いや、もたらすどころか奪われてんだよなぁ。だが、それが良い。という考察

https://ncode.syosetu.com/n8851ff/

 

彼の体験は寝取られというよりは片思いからの失恋ですが、小学4年生の彼にとっては衝撃的な体験だったのでしょう。

 

Twitterを見ている限りだと、現実で寝取られを経験した人はNTRを好きになるか蛇蝎のように嫌うようになるか、そのどちらかが多いような気がします。気がするだけかも。

 

いずれにしても、防衛機制によって興奮するようになるという説は一定の説得力があるような気がしますね。

 

 

"その他"とは――読者という名の神視点

アンケート最後の選択肢、"その他"についても考えてみましょう。

 

いや、その他ってなんやねん。と言いたいところですが、この視点には私も覚えがあります。いわゆる「神の目線」です。

 

 

便宜上、エロ漫画でのNTR作品を想定して話を進めます。漫画の読者は登場人物誰かの視点だけでなく、紙面に描かれている内容全体を俯瞰できる「神の視点」を持っています。読者はこの視点により「登場人物Aだけが知っている事実」と「登場人物Bが胸に秘めている感情」の両方を知る、みたいなことができるわけですよね。

 

この神視点をNTRに取り入れるとどうなるかというと、全員の感情を把握しつつ状況そのものに興奮することができるようになるんです。

間男を見て「あーこいつ今気持ちいいんだろうなあ」と考え、彼女を見て「快楽に負けないでー」とエールを送ったり、彼氏を見て「お前早くなんとかしないと彼女取られるぞ!はよ!おい!」とせかしてみたり。こういった楽しみ方ができます。さながらデスゲームをモニター越しに見ている富裕層のよう。

 

 

私がNTRを見るときには上のツイートのような見方をすることが多いですね。

心の中で「彼女さん、どうなの。負けないで、あーほら頑張って。あー、あー……ハイ、堕ちたー!今君の心堕ちたよー!」ってな感じで彼女側の心情に注目して見るのが一番私の性癖に近いです。

 

 

おわりに あなたはどの視点ですか!

はぐはぐさんのツイッターアンケートの結果を基に、それぞれの視点から見たNTRについて考えてきました。結果、NTRと一口に言ってもその見方は様々で、一筋縄にはいかないということがわかってきた気がしますね。

NTRは登場人物たちの目線、どの立場に拠って立つかということに関して非常に興味深いジャンルだというふうに思います。

 

ところで、4つめに挙げた「神の視点」に関してなんですが、我々が読者であり視聴者であり消費者である以上、この視点からは逃れられないと私は考えています。

登場人物の誰に感情移入して物語を進めていこうが、最終的にそこから何かを感じ取るのは他ならぬ物語の傍観者、我々自身なのですから。登場人物に対して「こいつ今こういう気持ちだろうな」と感情移入しているとき、「こいつ今こういう気持ちだろうな」と考えている"私"自身は透明化されがちですが、この"私"は消えてなくなったりはせずに(多くの場合無自覚のうちに)物語と関わり続けています。

私はNTRに関する考察を進める中で、このメタ認知たる"私"の「神の視点」を再発見することができました。これぞ今回のブログにおける私にとっての最大の収穫と言えます。いえーい。

 

今回は全体的にNTRを好意的に見る方向で話を進めてきました。私自身がNTRをそんなに嫌いじゃないから、っていうのもありますけど。

いつかNTRが大嫌いな人の意見もじっくりと聞いてみたいです。

 

 

最後に、NTRを愛する皆さん、NTRを憎む皆さん。NTR作品は登場人物の思惑が交錯する奥深い作品群でもあると思います。これまで見てきた4つの視点、自分はどの視点に近いのか、一度考えてみてください。そして、敢えて意識的に別の視点から物語を味わってみてください。

何か新たな発見があるかもしれませんよ。